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名前がつくなんて思ってもいなかった

「随分盛り上がってたな」
「久々だったからなァ。まぁ、随分と驚いてたよ」
「戦力にはなりそうか」
「元は神官兵だからな、そこそこには。ま、友達をこき使うのは気が引けるがね」
 彼の軽い口調に――、しかし返す言葉をなくす。自分の学生時代は既に遠い。その後の長い時間も、大半が旅路で、人間関係は希薄だ。
(“魔王の友人”なんて誰も名乗りたくないさ)
 それを思えばこれでよかったのだろうと思えた。
「良心が疼くなら彼を止めてこい。あんたの好きにしてくれ」
「……あー、俺は、当て付けのつもりで言ったんだが」
「?」
 奇妙な心地で男を見やると、彼はこちら以上におかしな顔をしていた。
「別にいいけどよ」
 ふい、と顔が逸らされる。足元の雑草を蹴散らすように歩く背をしばらく目で追って――別に、とつぶやく。
「俺は、まあ、こき使ってる……かねえ」
 なんとなく首の後ろを掻きながら、本当に疼いているのがそこではないことを知っていた。

ともだち扱いしたのはきっとさるあくんのほうが先だと思います